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遺産分割を放置するリスク|相続手続きを進めないと起こる不利益 と対処法

公開日:2026.01.15
最終更新日:2026.07.31

ご家族が亡くなった後、相続人同士の話し合いが進まず、遺産分割協議が止まってしまうことがあります。

「兄弟と連絡を取りたくない」

「不動産の分け方で意見が合わない」

「相続人の一人が協議に応じてくれない」

「手続きが面倒で、つい後回しにしている」

「亡くなった親名義の不動産をそのままにしている」

このような状態のまま遺産分割を放置すると、預貯金の払戻しができない、不動産を売却できない、相続税の特例が使えない、相続登記の期限に間に合わないなど、さまざまな不利益が生じる可能性があります。

また、時間が経つほど相続人が増えたり、資料が集めにくくなったりして、解決がさらに難しくなることもあります。

遺産分割は、早めに整理することが大切です。

目次

このようなお悩みはありませんか?

このような場合は、遺産分割を放置せず、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

遺産分割とは

遺産分割とは、亡くなった方の財産を、相続人同士でどのように分けるかを決める手続きです。

相続人が複数いる場合、遺産は相続人全員の共有状態になります。そのため、預貯金、不動産、有価証券、車、事業用資産などを誰が取得するのか、相続人全員で話し合う必要があります。

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。

しかし、相続人の意見が合わない場合や、不動産の評価額に争いがある場合、特定の相続人が生前贈与を受けていた場合などは、協議が長引くことがあります。

遺産分割を放置する主なリスク

1. 預貯金を自由に引き出せない

亡くなった方の預貯金口座は、金融機関が死亡の事実を把握すると凍結されます。

遺産分割協議が終わっていない場合、預貯金を全額払い戻すためには、相続人全員の合意や必要書類が求められることが一般的です。

遺産分割を放置すると、葬儀費用、固定資産税、相続税、生活費、管理費などの支払いに支障が出ることがあります。

一部の預貯金については、遺産分割前でも払戻しを受けられる制度がありますが、上限や要件があります。すべての預貯金を自由に使えるわけではないため注意が必要です。

2. 不動産を売却・活用できない

相続財産に不動産がある場合、遺産分割を放置するリスクは特に大きくなります。

不動産を売却する、賃貸に出す、建て替える、担保に入れるといった対応をするには、相続人間で権利関係を整理する必要があります。

たとえば、実家を売却したいと思っても、相続人全員の同意が得られなければ手続きが進まないことがあります。

また、不動産を共有のままにしておくと、将来の売却、管理、修繕、賃料収入の分配などをめぐって、さらにトラブルが生じる可能性があります。

不動産は、預貯金のように簡単に分けられません。

だからこそ、早めに評価額や分割方法を整理することが重要です。

3. 相続登記の期限に間に合わない可能性がある

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があり、遺産分割によって不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に登記をする必要があります。

正当な理由なく相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

「相続人同士で話し合いがまとまらないから、登記もできない」

「昔の相続が未了のままで、誰が相続人か分からない」

「不動産の価値が低いので放置していた」

このようなケースでも、現在は相続登記義務化の影響を無視できません。

不動産がある場合は、遺産分割と登記をセットで考える必要があります。

4. 相続税申告で不利益が出る可能性がある

相続税の申告・納税は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

遺産分割協議がまとまっていない場合でも、相続税の申告期限が当然に延びるわけではありません。

未分割のまま申告する場合、法定相続分で取得したものとしていったん計算する必要があります。また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、相続税の負担を大きく左右する特例が使えない場合があります。

その結果、本来より一時的に大きな税負担が発生することもあります。

相続税が関係するケースでは、遺産分割を早めに進めることが、税務面でも重要です。

5. 相続人が増えて話し合いがさらに難しくなる

遺産分割を放置している間に、相続人の一人が亡くなってしまうことがあります。

この場合、その相続人の相続人が新たに関係者となり、相続人の人数が増えることがあります。これを数次相続といいます。

数次相続が起こると、次のような問題が生じやすくなります。

相続は、時間が解決してくれる問題ではありません。

むしろ、放置するほど複雑になることが多いです。

6. 特別受益・寄与分の主張が難しくなる可能性がある

遺産分割では、生前贈与を受けた相続人がいる場合の「特別受益」や、亡くなった方の介護・事業への貢献がある場合の「寄与分」が問題になることがあります。

しかし、相続開始から長期間が経過すると、資料や証拠が散逸し、当時の事情を説明することが難しくなります。

また、現在の民法では、相続開始から10年を経過した後の遺産分割について、原則として特別受益や寄与分を考慮した具体的相続分の主張が制限される場合があります。

「親の介護をしてきた」

「兄弟の一人だけが生前に多額の援助を受けていた」

このような事情がある場合は、早めに資料を整理し、法的に主張できるかを確認することが重要です。

7. 家族関係がさらに悪化する

遺産分割を放置すると、相続人同士の不信感が強くなることがあります。

「誰かが財産を隠しているのではないか」

「預貯金を使い込んでいるのではないか」

「不動産に住んでいる人だけが得をしているのではないか」

「話し合いを避けているのは、何か理由があるのではないか」

このような疑念が積み重なると、最初は小さな行き違いだったものが、深刻な相続トラブルに発展することがあります。

早い段階で財産内容や分割方針を整理することで、無用な対立を防ぎやすくなります。

遺産分割を放置しやすいケース

相続人同士の関係が悪いケース

兄弟姉妹の関係が悪い、前妻の子と後妻側の家族が相続人になっている、長年連絡を取っていない親族がいるといった場合、話し合いを始めること自体が難しいことがあります。

このような場合は、無理に直接連絡を取ろうとすると、かえって感情的な対立が深まることもあります。

不動産の分け方で意見が合わないケース

不動産は、遺産分割で特に揉めやすい財産です。

「実家に住み続けたい人」と「売却して現金で分けたい人」がいる場合、意見が対立しやすくなります。

また、不動産の評価額についても、相続人ごとに考え方が異なることがあります。

不動産を取得する側は低く評価したい、代償金を受け取る側は高く評価したい、という対立が起こることもあります。

相続財産の全体像が分からないケース

預貯金、不動産、有価証券、生命保険、借入金、生前贈与など、相続財産の全体像が分からないままでは、遺産分割協議を進めることができません。

財産調査を後回しにすると、資料が集めにくくなり、相続人間の不信感も強まりやすくなります。

手続きが複雑で後回しになっているケース

相続手続きでは、戸籍収集、財産調査、不動産評価、相続税申告、相続登記など、複数の手続きが必要になることがあります。

仕事や家庭の事情で忙しい中、自分たちだけで進めようとして、結果的に何年も放置されてしまうケースもあります。

遺産分割を放置している場合にまず行うべきこと

1. 相続人を確認する

誰が相続人になるのかを確認します。

戸籍を取得し、配偶者、子、親、兄弟姉妹など、相続人の範囲を整理します。

以前の相続が未了の場合は、現在の相続人が多数に増えている可能性があります。

2. 相続財産を確認する

預貯金、不動産、有価証券、保険、借入金、未払い税金など、相続財産の全体像を確認します。

不動産がある場合は、登記簿謄本、固定資産税課税明細書、評価証明書、査定資料などを確認します。

3. 不動産の評価額を整理する

不動産がある場合、評価額をどのように考えるかが重要です。

固定資産税評価額、路線価、実勢価格、不動産業者の査定額など、評価方法によって金額が変わることがあります。

特に、収益不動産、共有不動産、借地権・底地、老朽化した建物、売却しにくい土地などは、慎重な検討が必要です。

4. 相続税申告の要否を確認する

相続税がかかる可能性がある場合は、申告期限を意識して早めに対応する必要があります。

遺産分割が未了でも申告期限は進んでいくため、税理士の視点も含めて対応方針を確認することが重要です。

5. 協議・調停の進め方を検討する

相続人同士で話し合える場合は、協議による解決を目指します。

一方で、相続人の一人が協議に応じない場合、連絡が取れない場合、感情的な対立が強い場合は、弁護士を通じた交渉や、家庭裁判所での遺産分割調停を検討します。

弁護士に相談するメリット

1. 相続人との交渉を任せられる

遺産分割が進まない原因が相続人同士の対立にある場合、弁護士が間に入ることで、話し合いを進めやすくなります。

直接連絡を取り合う負担を減らし、法的な論点に沿って協議を進めることができます。

2. 不動産評価・分割方法を踏まえて解決策を検討できる

不動産がある遺産分割では、評価額と分け方が重要です。

不動産を売却して分けるのか、特定の相続人が取得して代償金を支払うのか、共有にするのかによって、将来のリスクが変わります。

当事務所では、不動産鑑定士の視点も踏まえ、不動産評価や分割方法を検討します。

3. 相続税・納税資金まで考えられる

遺産分割は、相続税とも関係します。

誰がどの財産を取得するかによって、相続税の負担、納税資金、特例の適用可否が変わることがあります。

当事務所では、税理士の視点も踏まえ、法務・税務の両面から解決方針を検討します。

4. 調停・審判まで見据えて対応できる

話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停や審判を検討する必要があります。

弁護士に相談することで、協議段階から調停・審判まで見据えた資料整理や主張の準備ができます。

5. 長年放置していた相続にも対応できる

亡くなってから長期間が経過している場合でも、相続人調査や財産調査を行い、解決に向けて整理できる可能性があります。

「今さら相談しても遅いのでは」と思っている場合でも、まずは現在の状況を確認することが大切です。

よくある相談例

※以下は、よくあるご相談をもとにした架空のケースです。実際のご相談内容ではありません。

相談例1:実家の売却ができず、兄弟間で話し合いが止まっているケース

父が亡くなり、相続人は兄弟3人でした。実家には誰も住んでおらず、長男は売却を希望していましたが、次男は「思い出があるので売りたくない」と反対していました。

このような場合、不動産を共有のまま放置すると、固定資産税や管理費の負担だけが続き、将来さらに売却が難しくなる可能性があります。

不動産の評価額、売却可能性、管理負担を整理し、代償分割や換価分割などの方法を検討することが重要です。

相談例2:祖父名義の不動産が残っていたケース

父が亡くなった後に調べてみると、自宅の土地が祖父名義のままになっていることが分かりました。祖父の相続手続きが終わっていなかったため、現在の相続人を調査すると、多数の親族が関係することになりました。

このような数次相続では、相続人の範囲を整理するだけでも時間がかかります。

放置期間が長いほど、相続人が増え、話し合いが難しくなる可能性があります。

相談例3:相続税申告期限が迫っているのに遺産分割がまとまらないケース

母が亡くなり、相続税申告が必要な財産規模でした。しかし、不動産の評価額や預貯金の分け方で兄弟間の意見が合わず、申告期限が近づいていました。

このような場合、遺産分割がまとまっていなくても相続税申告への対応が必要になります。

税務上の不利益を避けるためにも、弁護士と税理士の視点から、遺産分割と相続税申告を並行して検討することが重要です。

よくある質問

Q. 遺産分割協議をしないまま放置しても問題ありませんか?

問題が生じる可能性があります。

預貯金の払戻し、不動産の売却、相続登記、相続税申告などに支障が出ることがあります。また、時間が経つほど相続人が増え、話し合いが難しくなる可能性があります。

Q. 相続人の一人が話し合いに応じない場合はどうすればよいですか?

まずは、相続人や相続財産を整理し、協議の前提を整えることが重要です。

それでも相手が話し合いに応じない場合は、弁護士を通じた交渉や、家庭裁判所での遺産分割調停を検討します。

Q. 不動産だけ相続手続きが止まっています。相談できますか?

はい。ご相談いただけます。

不動産は、相続登記、評価額、売却、共有、代償金、相続税など複数の問題が絡みます。

特に、相続登記が義務化された現在では、不動産の相続手続きを放置するリスクが大きくなっています。

Q. 何年も前の相続でも相談できますか?

はい。長年放置していた相続でも、現在の相続人や財産状況を整理することで、解決に向けて進められる可能性があります。

ただし、時間が経つほど相続関係が複雑になり、資料収集も難しくなることがあります。早めにご相談ください。

 

 

Q. 司法書士に相続登記を依頼すれば十分ですか?

相続人全員で分け方が決まっており、あとは登記だけという場合は、司法書士への相談が適していることがあります。

一方で、不動産の分け方で揉めている、相続人が協議に応じない、不動産評価や代償金で争いがある、相続税も含めて検討したいという場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

遺産分割を放置している方は、早めにご相談ください

遺産分割を放置すると、預貯金の払戻し、不動産の売却、相続登記、相続税申告、数次相続など、さまざまな問題が生じる可能性があります。

最初は「少し落ち着いてから話し合おう」と思っていた相続でも、時間が経つほど解決が難しくなることがあります。

特に、不動産がある相続、相続税が関係する相続、相続人同士の関係が悪い相続では、早めに専門家へ相談することが重要です。

弁護士法人プレシャス総合法律会計事務所では、弁護士・税理士・不動産鑑定士の視点から、遺産分割、不動産評価、相続税、相続登記を見据えた相続問題の解決をサポートしています。

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